暗い高校時代から世界が広がったのは?映画『少女』三島有紀子監督に高校生インタビュー

少女 三島有紀子監督

湊かなえ原作、累計100万部突破のベストセラーが完全映画化!

本田翼ちゃんと山本美月ちゃんが演じる主人公の由紀とその親友・敦子は、クラスでのイジメなど心の奥に暗い闇を抱える危うい女子高生。

同じ年代のch高校生スタッフが本作のこと、監督の高校時代のことなどをお聞きしました。

少女

三島有紀子監督

▶ プレスシートに「17歳という自分勝手で危うい年代を生きる少女たちを描いてみたかった」と書かれてありますが、なぜ17歳が危ういと思われるのでしょうか?

物差しとなる尺度をなかなか持てない時期ですし、“死”というものも近い気がするんです。

▶ 「尺度」ですか?

尺度はその人自身を表すと思うんですが、いろんな経験をして長く生きてると、誰かが教えてくれた尺度じゃなくて、自分自身のいろんな尺度が出来ていくんです。例えば、何が良くて、何が悪いかとかね。17歳はその尺度がまだ出来ていなくて、それが非常に危ういなって思います。また、世界はものすごく広いのにほとんど学校と家の間だけで行動し、それがすべての世界だと思っているところがある。それも危ういなと思うんです。

▶ ところで原作を読まれた時、どう思われましたか?

読み終えた時、最後のシーンの映像が鮮やかに浮び、これは撮らなくては、と思ったんです。また湊さんの作品で有名な「告白」と違って「少女」は青春ものとして書かれているという点でも面白いなと感じました。
  
▶ 映画の中で、本田翼さんの声が低く感じられたのですが、それは監督がご指導されたのですか?

そうですね。まず、由紀の声のトーンというのはどれくらいなのか設定して、その基本の声の低さを保ってくれと指示を出しました。

▶ それは作品に合わせるためですか?

作品もそうですけど、由紀って人間をどう作っていくかなんです。役者さんの仕事ってこの世にいない人間を生まなきゃいけない。あたかも由紀って人間がそこにいるかのように見せなきゃいけないってなった時に、普通のトーンで喋ったら本田翼さんでしかない。この声の低さが恐らく由紀という人間なんだろうと。

▶ 作品中、自殺していく人が皆両手を広げ十字架にはりつけられた格好で死んでいきます。

皆、罪を背負って死んでいくんです。私はクリスチャンではないんですけど、キリスト教文化というものが面白いと思っています。

▶ 原作にはなかった水の描写を入れたのはなぜでしょうか?

もともと水っていうのが死のイメージに近いっていう感覚が私の中にあって。普通に生きてて息ができないとか、息苦しいとか、リアルな感覚はどういう時に感じられるかなって思った時に、真っ暗闇な水中にいる時が非常に息苦しくリアルな感覚として感じられるなと思ったのです。

▶ 体育祭での踊りがとても印象的でした

メイポールダンスですね。このダンスってみんなの調和がとても大事なんです。調和を取るっていうこと自体が非常に苦しくないですか? 自分が少しバランスを崩したら全てが壊れてしまうってすごく怖いなと思いました。

▶たくさんのシーンがありましたが、体力面でのご苦労はありましたか?

監督って自分が撮りたいものがあるので、そういう意味ではアドレナリンが出るんですよ。半分おっさんが入ってて、撮影中は大声を出すこともあります。だから、スタッフはちょっとぐらい監督に疲れてほしいと思ってるんでしょうけど(笑)

少女 三島有紀子監督

▶ さて次に三島監督ご自身の高校生時代について教えてください。

暗かったですよ! 全然キラキラしてなくて。バスケ部に入っていましたけど、文芸部で小説や脚本も書いたりしてて。死ってどういうことなのか、死んだらどうなるのとか、この先どう生きていくんだとか、みんな汚い人ばっかりだ!とか、そんなことを考えているような暗い青春時代でしたね。

▶ 本作のような暗い世界だったのですね。その暗い世界から明るい世界が見えてきたのはいつ頃なんでしょうか?

大学に入ってキャンパスや他の世界を見てからですが、やはり働き始めてからですね。大学卒業後、NHKに入ってドキュメンタリー番組を作っていたんです。いろんな人に会いに行って、取材をし、こんな風に生きてる人がいるんだとか、こういう世界があるんだとか、いろいろな所を見られたので世界が広がりました。世界が広がることで目の前がパーッと明るくなりましたね。

▶ 最後に、読者の高校生にメッセージをいただけますか?

少女 三島有紀子監督

もし、本当に息苦しいなって思いながら生きている方がいらっしゃるとしたら、この映画を観てもらいたいです。世界は広いですしもっといろんな世界があることを知ってもらいたい。本当は自由なはずなのに不自由に思っているのは自分がそう思っているだけなのかもしれないし、闇は怖いものではなくむしろ、他者から見えないので自由なのかもしれません。いろんなことが見方によって変わるように思います。また、死を見たいとか、死を考えるってことは生を考えるってことで、それは皆さんが生きることを選んでることだと思うんです。自分にとって本当の意味で生きている瞬間はどういう瞬間なのかっていうことを映画を観て何か感じてくださればいいなと思います。

 

少女

少女

2人の女子高生が「死体ってみたことある?」という転校生の何気ないひと言をきっかけに、死とは何なのか? 死を知りたいという願望に囚われる。“本当の死”を理解できたら闇から解放されるのではないか――少女たちはそれぞれの方法で“死の瞬間”を見ようとする。それは何とも刺激的な物語の始まりだった――

  • 原作:湊かなえ『少女』(双葉文庫)
  • 監督:三島有紀子
  • 出演::本田翼、山本美月、真剣佑、稲垣吾郎、ほか
10.8(土)全国公開

映画オフィシャルサイト

©2016「少女」製作委員会

 

取材を終えて・・・

ch STAFF
関西
ゆうちゃん
高3
三島監督は「作品を見て、どう見てほしいよりもとにかく感じ取ってほしい」とおっしゃっていたことが印象的でした。取材中に何度も「世界は広い」と話されていたことが忘れられません。とにかく多くの高校生に読んで欲しい記事です。人生変わるかもしれません。
ch STAFF
関西
あべジェニ
高3
私が勝手に思い描いていた監督のイメージとはまったく違い、とてもお洒落で話しやすい方でした。「映画は祭り。みんなと話し合って作っていくんだ」というお話がとても印象に残っています。お話を聞いて、少女という暗黒時代を過ごし、世界が広いことを知った大人の三島監督だからこそ作れた作品なのだと感じました。

 
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