LGBTについて考える【2】 TDR初の同性挙式をしたLGBTアクティビストに高校生がインタビュー

LGBTについて考える

特集「LGBTについて考える」。

【1】に続く【2】をお届けします。

LGBTについて考える【1】 カメラマン&料理研究家のゲイカップルに高校生がインタビュー

2016.08.11

特集

LGBTについて考える【2】

増原裕子さん(写真右)

……今、どんなお仕事をされているのですか?

「パートナーの小雪さんと一緒に「トロワ・クルール」という会社を立ち上げて、LGBTのことを伝える講演や企業の研修を行っています。たとえば企業にLGBTの方がいた時にどうすれば良いかといったお話を人事の方や管理職の方向けに研修させていただいたり、同性カップルの挙式を行うことになった結婚式場のスタッフにアドバイスをさせていただいています」

……そういった講演を高校向けにされることはありますか?

「今のところ呼んでいただいているのは大学以上の年代の場がほとんどです。でも今、中学高校の先生向けの研修も必要だと感じているので、高校にもぜひ呼んでいただきたいですね!」

……昨年渋谷区が始めた、結婚に準じる「同性パートナーシップ条例」に基づく証明書を取られた時のお気持ちを教えてください!

「ものすごく嬉しくて感動しました。これまで公共の場で家族として認められたことがなかったので、区役所のスタッフの方々が「おめでとうございます!」と言ってくださった時は感慨深かったですね。同じ日から世田谷区でも同じような取り組みがスタートして、これを機にテレビや新聞・雑誌などあらゆるメディアで「LGBT」や「同性婚」が取り上げられるようになりました」

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……証明書を受け取られてから、何か変化はありましたか?

「この証明書が発行されるようになった頃から企業やサービス面の動きにも大きな変化がありました。これまで同性カップルは生命保険の受け取り人にパートナーを指定できないことが大きな課題だったのですが、これが可能になったり、今まではソフトバンクでしか認められていなかった携帯電話の家族割が各社で受けられるようになりました。また、同性パートナーにも会社の福利厚生が適用されるようになるなど、会社で働くLGBTに向けた取り組みを始める日本の企業も増えてきました」

……東京ディズニーリゾートで初めての同性挙式をされた時のことを教えてください!

「パートナーの小雪さんがディズニーの大ファンで、4年前、シンデレラ城で挙げる「ディズニー・ロイヤルドリーム・ウェディング」が発表された時に、ディズニーでこんな結婚式ができたら良いね、と話していたんです。当時私はいろんなことを諦めてしまっていたのですが、気が付いたら彼女が電話をかけていて(笑)。でも「LGBT」という言葉もまだ珍しい頃だったので、ディズニー側のスタッフの方もはじめは「お一人はタキシードを着てください」と仰って、なんだそれは! って(笑)。でも日本人らしい対応ですよね。何度も話していくうちに具体的に話が進んで、ウェディングドレス同士の結婚式が実現しました」

……メディアに取り上げられることに不安や抵抗はなかったですか?

「結婚式を境に、取材を受けることもとても増えました。テレビ番組ではこれまで悪質な笑いにされてしまうことが多かったので、はじめは慎重になっていたのですが、いつも真面目な番組だけに出ていても広がりはないなと思って『私の何がイケないの?』などバラエティ番組にも出演しました。表に出ると必ず良いことも悪いことも言われるんですが、ネガティブな意見はあまり気にしないようにして、次第にメディアとの付き合い方も学びました」

……一番辛かった時期はいつ頃でしたか?

「高校生から大学生の頃ですね。はじめに“女の子が好きかも”と思ったのは小学4年生頃ですが、それは皆さんと同じような淡い初恋。その頃は好きな男の子もいるし好きな女の子もいる、という感じでした。高校生や大学生ぐらいになってくると恋愛ももっとリアルな感情が湧いてきますよね。でも、仲の良い友達にも好きな子のことを話せないし、嘘をつかないといけなくなって、自分で自分を恥じていることがすごく苦しくなりました。当時は「ホモ!」とか「レズ!」とか、からかわれるような社会でしたから。ずっと1人で悩んでいましたね」

……そんな気持ちが、楽になれたきっかけは何でしたか?

「まず1つは、大学4年生で卒業する頃になって、友達にようやく言えるようになったこと。初めてカミングアウトした時に、友人が「なーんだ、もっと早く言ってくれれば良かったのに」と言ってくれて、何も変わらず受け止めてくれたことで心が軽くなりました。もう1つは、大学院の1年目にパリに留学したこと。フランスではその当時すでに結婚に準ずる同性カップルの「PACS」(パックス)という制度ができていて、とても自由な空気がありました。パリで通っていた大学に同性愛者のサークルがあって、そこで初めて同年代の仲間と繋がれたことも大きかったです」

……今悩んでいる高校生にメッセージをお願いします!

「まずは決して1人ではないということを覚えておいてください! 高校生の場合、まだ同じような悩みを持つ友達に出会えていないという人がほとんどだと思います。でも今、13人に1人がLGBTであるというデータも出ていますし、カミングアウトしている大人も増えてきています。WEBサイトやイベントもあるのでぜひ訪れてみてください」

……最後に、友達がLGBTだったらどうすれば良いですか?

「お友達は、“カミングアウトしたら嫌われちゃうんじゃないか”ととても不安な気持ちであなたに打ち明けてくれたと思うので、まずは「大切なことを話してくれてありがとう」ということを伝えてあげてください。そして、あなただから言えたことだと思うので、それをアウティング(本人の了解を得ずに周りの人たちに言うこと)しないであげてください。そこは気を付けて」

 

東小雪さん&増原裕子さん

東小雪さん&増原裕子さん

 

増原裕子さん

’77年、神奈川県出身。LGBTアクティビスト。パートナーの東小雪さんと立ち上げた株式会社トロワ・クルール代表取締役。慶応義塾大学大学院(フランス文学専攻)卒。LGBTが安心して暮らし、働ける社会を目指し、各地で企業研修・講演活動などを行っている。【Twitter: @ataeru_onna

 
●著書のご紹介


同性婚のリアル
東小雪+増原裕子(ポプラ新書)

お二人の「カミングアウトの悩み」から「結婚式の悩み」「結婚式の喜びと苦労」など、同性婚の現状が書かれた新書。大切な人と一緒に自分らしく生きていくためのメッセージが二人の対談形式で語られ、LGBT入門本としておすすめ。
 

  • OUT IN JAPAN(アウト・イン・ジャパン)

    www.outinjapan.com
    LGBTをカミングアウトしている人のポートレートを5年間で1万人撮影するプロジェクト(’15年4月よりスタート)。WEBサイトで、現時点で写真家のレスリー・キーさん撮影の1,000人の写真と、1人1人からカミングアウトしたいと願う人を応援するメッセージが掲載されています。

  • ハートをつなごう学校

    heartschool.jp
    LGBTかもしれないと悩む若い子を応援するためのメッセージサイトです。LGBTの方はもちろん、LGBTを支援する有名人からの動画メッセージがたくさんアップされています。同じ悩みを持つ方々のお話と経験を聞いて、“1人じゃない” ことを知ってください!

  • ピアフレンズ for girls / for boys

    【Twitter: @pf_girls / @pf_boys
    これはNPO法人が運営している、LGBTユースのための友達作りの最初の一歩を応援するイベント。「for boys」「for girls」に分かれ、東京都内を中心に2~3ヶ月に1回仲間と出会うためのイベントを行っていて、高校生のような10代の子も参加しています。

 
取材を終えて…

ch STAFF
関東
みなせ 高3
こうして活動されている大人の方がいてくださるのは本当に心強いと思います。WEBサイトやイベントなど、LGBTの子たちが繋がれる場所があることも初めて知りました。今東京で起こっている動きがもっと各地にも広がれば嬉しいな。

 
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