LGBTについて考える【1】 カメラマン&料理研究家のゲイカップルに高校生がインタビュー

LGBTについて考える

今月の特集は、昨今よく耳にするようになった「LGBT」について。

言葉は聞くけれど、学校で教えられるわけでもないし、実際よくわからない部分もたくさん。

そこでLGBTを公表されている2組のカップルにch高校生スタッフがお話をお聞きしました!

高校生はもちろん、先生方にも読んで欲しい!

LGBTについて考える【2】 TDR初の同性挙式をしたLGBTアクティビストに高校生がインタビュー

2016.08.11

特集

LGBTについて考える【1】

中川司さん(左)&寺井幸也さん(右)

……お二人は普段どんなお仕事をされているんですか?

中川「僕はフリーのカメラマンとして、ファッションから旅、料理、イベントなどさまざまな写真を撮っています。高校卒業後にお笑いを目指して山口から東京に出て来たんだけど(実はロンブー淳さんの元相方さん)、挫折して紆余曲折して、最終的に26歳の時に写真の素晴らしさに出会い、カメラマンを志しました」

幸也「僕は料理家で、今は「幸也飯」と名乗り、ファッション誌の撮影現場や展示会などにお料理のケータリングをしたり、料理教室、お店のレシピ監修などをしています。地元の鹿児島でずっと飲食をしていて、彼とは遠距離だったんですが、一緒に暮らしたいと思って2年前に上京しました。初めはレストランで働いていたんだけど、彼の仕事周りの雑誌の編集者の方などが家に遊びに来た時に手料理をふるまったのがきっかけで、ケータリングのお仕事を頼まれるようになりました」

……幸也さんのお料理、とても美味しそうでインスタの写真を見ているとお腹が減ります(笑)!

幸也「色彩を豊かにしようというのは心がけていますね。でもよくゲイはイケメンが多いとか才能がある人が多いとか言われるんですが、それは絶対ノンケ(同性愛者)の方と同じ比率だと思います。同性が好きなだけで、それ以外はいたって普通ですよ」

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……でもゲイの方ってすごくセンスが良い方が多い気がするんですが。

中川「たしかにファッションデザイナーやヘアメイクさんにも多いけど、目立つからそう思われるのと、秀でているというよりはゲイっぽい独特の感性が評価されているんじゃないかなぁ」

……昨年11月、東京都渋谷区と同日からスタートした世田谷区の「パートナーシップ宣誓書」を第1号として提出して、認定された時はどんなお気持ちでしたか?

幸也「僕は今27歳で皆さんに近い世代だから、それほどゲイとして苦労してきたということはないんです。でも僕らと一緒に提出した方の中には、十数年ずっと一緒に暮らしてきてこの日を望んでいらした方もいて。そういう意味では、大きな一歩だったかもしれません。LGBTと言うとオネエの人しかいないと思っている人も多いので、僕らが表に出ることで、単純に同性が好きなだけで普通の人たちもいるんだということも知ってもらえたかなとも思います」

中川「マスコミもテレビ全局、新聞全社、インターナショナル系まで50社以上来ていて、予想以上に世間から注目されていたことに僕らも驚きました」

幸也「でも結婚してから気持ちは変わりましたよ。僕はきちんと結婚したい、結婚式もしたい、と思っていたから、それまで付き合っていた頃は嫉妬もするし不安もあってケンカもしたけど、今は彼のご両親や親戚とも会ってきちんと家族になれたので、とても安心しています。ちゃんと彼にプロポーズもしてもらったしね!」

……とてもお幸せそうです(笑)。お二人は、自分が同性が好きかもしれないと気付いたのはいつ頃でしたか?

中川「僕は13、14歳頃かな。でもその頃はまだよくわからなくて。当時はインターネットもなかったから、そういう情報もなかったですし」

幸也「僕も高校生くらいかな。でも本当わからなくて、「あれ? どっちなんだろう?」っていう感じ。だから当たり前のように女の子とも付き合ったし。徐々にいろいろ調べたりしながら、自分のことがわかっていった感じですね」

……周りにカミングアウトするまで苦しい思いをされましたか?

幸也「僕はそんなにないんだよね。自分はゲイなんだなって思った時も、家族にも友達にもすぐに言いました。それで避けられたということもないですね。どちらかと言うと学校でもリーダー的存在だったから、みんな「幸也が言うんだったら、いいんじゃない」みたいな感じだったかな」

中川「幸也はキャラクターが出来上がっているからね。そうじゃない子もたくさんいると思いますし」

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……今の時代は、LGBTの方々にとって暮らしやすい社会になってきていると思われますか?

中川「今は誰かがカミングアウトしても、それを受け入れる方がカッコ良いという感覚にはなってきているところもあるよね。また次の10年でもっと変わるでしょうし」

幸也「ずっと周りに言えないまま生きて来られた人にとっては、今さら騒ぎ立てないでくれ、と思っている方も当然いらっしゃると思います。でも何かが大きく変わる時には良い面と悪い面が出ることは仕方がないことですよね」

……今、LGBTで1人で悩んでいる高校生にアドバイスをいただけますか?

幸也「カミングアウトをすることが良いことみたいにも取り上げられているけど、とても重要なことだから、少し慎重になった方が良いかな。特に親へのカミングアウトについては、自分の親が気軽に言えそうかそうでないかって自分が一番よくわかるよね? 言えそうなら言えば良いけど、難しそうなら、無理して言わず、自分が大人になるまで待てば良いと思うよ。思春期だけ同性が好きだったという人もいるし、自分が本当にそうなのか、それで生きて行くのか、まずはいろいろ考えながら自分とよく向き合ってほしいですね。そうすれば、ある程度大人になって、親とも対等に話ができる年齢になった時に、今より覚悟を持って話をすることができると思います」

中川「カミングアウトして楽になれる部分もあると思うけど、実際はそれでみんながうまくいくとは限らないからね。LGBTに肯定的な親だったとしても、まさか自分の子がそうだとは思っていない場合もあるし、そもそもLGBTというものが、何かがわからないから受け入れるのにも時間がかかるし。僕だって親に伝えたのはたった2年前。結婚を機に、幸也も一緒に実家に行って気持ちを一生懸命伝えてくれて。思春期の頃って、こういうことだけじゃなくても将来のこととかいろんな悩みってあるでしょ? だからいろんなことに悩んで考えて、まずは自分が強くなることが一番だと思います」

幸也「うん。司のお父さんも「じゃあ、お前は普段女の格好してるのか?」って。でも仕方ないよね。みんなわからないから、まずはそこから説明していかないと」

……今回、お仕事がとてもお忙しいお二人に、こうしてお時間をいただけて本当に嬉しかったです!

中川「今回は取材のお話をいただいた時に、僕が「これは受けたい!」って幸也に言ったんです。きっと悩んでいる高校生たちってたくさんいるだろうから。高校生のみんなにはもちろん、PTAの方や先生たちにも読んで欲しいですよね」
 

中川司さん/ch STAFF りの高3/寺井幸也さん

中川司さん/ch STAFF りの高3/寺井幸也さん

中川司さん

’73年、山口県出身。カメラマン。雑誌「LEON」等で活躍。ファッションから旅、料理の写真まで幅広くこなす。ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんとコンビを組み、高校卒業後、お笑いを目指し共に上京したことでも知られる。【Instagram: @tsukaka

寺井幸也さん

’88年、鹿児島県出身。料理研究家。「幸也飯」代表として“幸せを届ける”をコンセプトに一流メゾンのパーティーや展示会、ファッション誌等の撮影現場等でのケータリングを行う他、LOFTの公式アプリで幸せレシピを連載中。【Instagram: @yukiya.terai

 
取材を終えて…

ch STAFF
関東
りの 高3
お二人がとても自然体でびっくりしました! お互いを尊敬し合って支え合っている感じが本当に素敵。一つ一つの言葉に説得力があるのは、10代で自分がLGBTだと気付き、自分の中で消化して歳を重ねて来られたからだと思いました。

 
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